キス・オブ・ザ・ドラゴン

I n t r o d u c t i o n

「レオン」のジャン・レノに続き、ジェット・リーがベッソン映画のヒーローに挑戦。
　人の殺し方しか知らない男、本当の愛を知らない女。危険な出会いに二人は燃え上がる。。

　『キス・オブ・ザ・ドラゴン』は、リュック・ベッソンの傑作『ニキータ』『レオン』の流れを汲む作品である。元麻薬中毒で殺人犯の秘密工作員ニキータ、仕事として黙々と人を殺すレオン。世間から外れた存在である彼らが初めて“愛”を知った時、彼らはそれまでの自分を脱ぎ捨て、その愛のために闘う。べッソンは一貫して、孤独で何かが欠けている主人公たちが出会い、惹かれあうことによって救われる姿を描いてきた。そのテーマがべッソン作品を魅力的かつ感動的にしているのは、そんな欠けた心をもった主人公たちが、実は現代に生きる私たちと重なるからだろう。

　今回、ジェット・リーが、『レオン』のジャン・レノに続いて、そんなべッソン作品の人間味溢れる等身大のヒーローに挑戦、これまでの“アクション・スター"というイメージを超越して、新境地を見せてくれる。ヒロイン役には、『ジャッキ一・ブラウン』『シンプル・プラン』などの個性的なキャラクターで知られるブリジット・フオンダ。さらに『二キータ』や『ジャンヌ・ダルク』のチェッキー・力リョが二人を罠に落とす捜査官を演じている。
　

　アジアでは既に怖いものなしのスーパースターだったジェット・リーが、『リーサル・ウーボン4』『ロミオ・マスト・ダイ』のアクションで、世界中の観客の度肝を抜いたことは記憶に新しい。今回は、ベッソンのアイデアと、自らもべッソンと共にプロデューサーとして参加しているジェット・リーの技が融合し、驚愕と興奮のアクション・シーンを繰り広げることに成功した。　

Profile of Hero／Heroin

Jet Li

1963年、中国生まれ。わずか11歳で中国武術大会の5種目で1位となり、総合優勝を果たす。その後、79年まで連続優勝を果たし、”中国武術界の至宝”と呼ばれる。82年、『少林寺』で映画デビュー。92年、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地額明』に主演、またしても大ヒットを記録し、人気・実力ともにアジアのトップ・アクション・スターとして君臨、ハリウッドからも注目され、98年、『リーサル・ウエポン４』でハリウッド・デビューを飾る。メル・ギブソンと共演したこの作品で、アメリカでの人気も急浮上、『ロミオ・マスト・ダイ』（00）で、ハリウッド映画2作目にして主演を果たす。

Bridget Fonda
1964年、アメリカのロサンゼルス生まれ。祖父へンリー、叔母ジェーン、父ビーターという俳優一家の血を受け継ぐ。ニューヨーク大学で演技を専攻、卒業後はリー・ストラスバーグ・インスティテュートに参加する。82年、『パートナーズ』の小さな役で映画デビュー。本格的なデビュー作は、87年の『アリア』。89年、『スキャンダル』でゴールデン・グローブ賞にノミネート。93年、リュック・ベッソン監督『ニキータ』のハリウッド・リメイク版『アサシン暗・殺・者』に主演。近年は『ジャッキ-・ブラウン』（97）『シンプル・プラン』（98）など。他の主な出情作は、『ストラッブレス』（89）『ドク・ハリウッド』（91）『シングルス』（92）『ルームメイト』（92）『リトル・ブッダ川93）『恋愛の法則』（93）『あなたに隆る○』（94）『グレイス・オブ・マイ・ハート』（96）『グレイスランド』（98）『U.M.A.レイクブラシッド』（99）など。

Tcheky Karyo
1953年、イスタンブール生まれ。バリの学校で学んだ後、舞台を中心に活躍する。81年から映画に進出し、『愛しさは、女/ラ・バランス』（83）の悪役で、セザールー有望若手男優-にノミネート、たちまち注目される。86年の『狂気の愛』ではジャン・ギャバンーを受Tする。リュック・ベッソン監督の『ニキー列（89）の大ヒットで、世界中にその名を知られる。その後、『ドーベルマン』（97）などで強烈なインパクトを与える役を演じてハリウッドにも進出、『パッドボーイズ』（94）『007/ゴールデンアイ』（95）『バトリオット』（99）などに出濃、個性派の名優としての地位を確立した。べッソン作品は『二キータ』、99年の『ジャンヌ・ダルク』のデュノワ伯役に続いての出演。その他の主な出演作は、『満月の夜』（83）『子熊物語』（88）『1492・コロンブス』（92）『心のおもむくままに』（95）『恋におぼれて』（97）など。最新作は、劇作家モリエールに扮した『王は踊る』（00）、『ブレイド2』（01）。

Director

Production Note

脚本の執筆が進みロケハンが始まると、ベッソンは共演者のキャスティングに取り掛かった。ジェシカ役は、ブリジット・フォンダにアプローチした。プロジェクトの全容を明かさないべッソンと、まだ未完の脚本しかない状況にもかかわらず、フォンダは躊躇しなかった。「私はべッソンの作品に心服しているのです。特に彼が描く女性のキャラクターに。べッソンと会っても、数ページの脚本が与えられただけ。次に私が知らされたのは、役をオファーされたということでした。どんな映画かもわからないし、どんな役柄なのかもわからない。それでも彼を信用して引き受けました」とフォンダは語る。

　べッソンは、次にベテラン俳優チェッキー・カリョをリチャード役にキャスティングする。カリョもブリジットと同様、執筆中の脚本を読むことができなかった。しかし彼も身を委ねたべッソンの腕を信じた。「ベッソンと仕一をしてきたことで、脚本を読まなくてもべッソンが望むものに応えられることが分かっていたんだ」そう、カリョは言った。　カリョの信頼も裏切られることはなかった。彼が演じるリチャードは邪悪なまでの支配欲に満たされた男だが、それだけではなく、カリョに様々な表現のチャンスを与えた。「リチャードは、感情の起伏が非常に激しいのです。リチャードが人の心を弄ぶように、彼の感情は極限の怒りからジェシカへの秘められた愛情にいたるまで激しく変化します。

ジェット・リーの俳優としての、そして武道家としての才能にキャスト、スタッフともに感銘を受けた。「リーは動いていても詩的なんです」と説明するブリジットは、リーのさまざまな側面を高く評価する。「彼はシャイで強くて、優しくて危険。物静かと思えば、ズバズバとものを言うの。」　当初からカリョは、ジェット・リーの集中力に驚かされた。「あるシーンで、リーが私の正面に立ったんだが、突然彼の視線が消えたんだ。普通は感情や性格など内面は全て目を通して理解する。そのリーの目が消えたんだ。もう彼をとらえることはできない、そんな感じだった。」　クリス・ナオンにとってデビュー作の監督にあたり、最大の発見はリーの見事な演技だった。「リーがあんなにいい俳優だったことに、正直鷺さました。彼は単なる武道家じゃないんです。」

(以上プログラムより引用)