鑑賞後の一言
今回も事前に作品内容を知らずに観たが、「クラッシュ」という題名とアカデミー賞の授賞式のハイライト映像で自動車の衝突事故シーンを見たのでそれが関係するストーリーだと思っていた。　しかしそんな単純なテーマではなく、アメリカ社会における人間同士の様々な「衝突」をテーマにした映画だった。　
（様々な衝突）
�@黒人刑事、ヒスパニック刑事対白人検事　�A白人検事夫妻対白人敵視の黒人青年の二人　�B差別主義者の白人警官対裕福な黒人ＴＶディレクター夫妻、　�C差別主義者の白人警官対病院の黒人受付嬢　�Dペルシャ人雑貨店経営者対黒人の鍵屋とその娘　�Eペルシャ人雑貨店経営者対白人銃砲店主　�F白人検事の妻対黒人の鍵屋　　�G若い白人警官対白人敵視の青年

さまざまな階層の、さまざまな人種の彼らの人生はアメリカ社会の持つどうしようもない問題が起因して思いがけない形や角度で交錯（衝突）しながら大きく狂い始めてしまう。　決して誰が悪いわけでもないのに、悲劇を生んだり、逆に悲劇をきっかけに愛を取り戻したりすることもある。　

観終わって、やはりこの作品は優れた作品ではないかと感じざるを得ない。　　特に感動的だったのは黒人鍵修理人の小さな娘が父を守ろうと盾になり、銃で打たれるシーンと、その伏線で娘の父が娘の不安をなくすために、ある話をするシーン。　久々に余韻の残るいい映画だった。　さすがにプロが選ぶ優秀作品。