シッピングニュース

I n t r o d u c t i o n

　　『サイダーハウス・ルール』『ショコラ』で2年連続アカデミー賞にノミネート。名実ともに名匠と、世界中から認められるラッセ・ハルストレム監督の待望の新作が完成した。原作はピュリッツァー賞と全米図書賞をダブル受賞した世界的ベストセラーとなった女性作家E・アニー・プルーの話題作。失意の男が凍てつく北国で、人の暖かさに触れ、自分自身を取り戻していく姿を描く感動の物語だ。　新聞社に勤めるクォイルは、男と逃げた妻の事故死や父の死に絶望する。　その後叔母と娘の３人で、故郷ニーファンドランド島にもどることを決めた彼だったが、その島と彼の先祖の間には深い傷が隠されていた。

　出演は、『アメリカン・ビューティー』『ユージュアル・サスペクツ』で2度のアカデミー受賞に輝くケヴィン・スペイシー、『ことの終わり』『ブギーナイツ』で2度のアカデミー賞候補となったジュリアン・ムーア、『エリザベス』でアカデミー賞主演女優賞候補となったケイト・ブランシェット、『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー
賞助演女優賞受賞のジュディ・デンチなどを始め、TVシリーズ「ロズウェル／星の恋人たち」『カラー・オブ・ハート』の新鋭ジェイスン・ベア、『トレーニング・デイ』のベテラン俳優スコット・グレン、『ヒューマンネイチュア』でユニークな個性を見せるリス・エヴァンス、『父の祈りを』でアカデミー賞候補となったピート・ポスルスウェイトなど、素晴らしい演技派オールスター・キャストの競演となった。

Profile of Hero／Heroin

Kevin Spacy

1959年ニュー・ジャージー州生まれ。ロサンジェルス・ヴァリィ・カレッジを卒業後、ジュリアード演技学校で2年学ぶ。82年イプセンの「幽霊」でブロードウェイ・デビュー。86年にはジャック・レモンと「夜への長い旅」で共演。91年には「ヨンカーズ物語」でトニー賞を受賞、98年にユージン・オニール“The Iceman Cometh”で舞台に5年ぶりに復帰、トニー賞で自身の主演賞候補ほか5部門ノミネートとなり、イヴニング・スタンダードとオリヴィエ賞主演男優賞を獲得した。　映画は86年に『心みだれて』でデビュー。『ワーキング・ガール』（88）、『晩秋』（89）、『摩天楼を夢みて』（92）などで主役を喰う準主役を演じ注目される。製作も担当し96年インディペンデント・スピリット・アワード主演男優賞候補になった『ザ・プロデューサー』（94）、『セブン』（95）などで数々の演技賞を受賞、特に『ユージュアル・サスペクツ』（95）ではアカデミー賞助演男優賞を獲得した。以降『リチャードを探して』（96）、『L.A.コンフィデンシャル』（97）、『真夜中のサバナ』（97）、『交渉人』（98）“The Iceman Cometh”や『ビッグ・チャンス』（99）を製作。99年『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞主演男優賞を獲得。

Julianne Moore
1961年ノース・キャロライナ州生まれ。ボストン大学演劇科でBFA（学士号）を得、オフ・ブロードウェイに数多く出演。85年から88年までは人気昼メロ・シリーズ“As the World Turns”に出演、一躍人気者となりエミー賞も受賞した。　映画は映画版『フロム・ザ・ダーク・サイド』（90）でデビュー、『ゆりかごを揺らす手』（92）、『妹の恋人』（92）、『逃亡者』（93）、インディペンデント・スピリット・アワード助演賞候補となった『ショートカッツ』（93）など準主演格へと出演を重ねていく。94年には『42丁目のワーニャ』（94）でボストン映画批評家協会主演女優賞、『SAFE』でインディペンデント・スピリット・アワード主演賞候補となりその地位を確立。97年には『ロスト・ワールド／ジュラシック・パーク』に主演、『ブギーナイツ』で、ロサンジェルスと全米の映画批評家協会賞を獲得。以降、『ビッグ・リボウスキ』（98）、『クッキー・フォーチュン』（99）、『サイコ』（99）、『理想の結婚』（99）、『ことの終わり』（99）、『マグノリア』（99）、2001年には『ハンニバル』。

Judi Dench
　1934年12月9日イギリス、ヨーク生まれ。舞台キャリアは40年以上。シェイクスピアの主要な役や「肝っ玉おっ母とその子供たち」などのタイトルロール、「三人姉妹」イリーナ、「キャバレー」サリー・ボウルズなど古典から現代劇まで幅広い役柄をこなしてきた。最近は“Amy's View”でトニー賞主演女優賞受賞。ほかにサー・ピーター・ホール“Filumena”でオリヴィエ賞候補、オリヴィエ賞ミュージカル部門主演女優賞の“A Little Night Music”、オリヴィエ賞受賞 “Absolute Hell”、「かもめ」などがある。　映画は65年に“A Study in Terror”でデビュー。66年の“Four in the Morning”でイギリス・アカデミー賞新人賞受賞。85年のデイヴィッド・ヘア監督作『ウェザビー』でイギリス・アカデミー賞助演賞候補。86年の『眺めのいい部屋』で初のイギリス・アカデミー賞助演賞受賞。　97年にヴィクトリア女王を演じた『Queen Victoria　至上の恋』で初のアカデミー賞主演賞候補となり、イギリス・アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を受賞。98年に『恋におちたシェイクスピア』で初のアカデミー賞助演賞受賞。また、95年の『ゴールデン・アイ』以来、007シリーズの二代目M役を『トゥモロー・ネバー・ダイ』（97）、『ワールド・イズ・ナット・イナフ』（99）と演じている。ラッセ・ハルストレム監督の前作『ショコラ』（2000）では各賞候補となり、全米俳優組合助演賞を獲得。88年には大英帝国勲位の“デイム（Dame）”を授けられた。

The Director

監督のラッセ・ハルストレムは　1946年6月6日スウェーデン、ストックホルム生まれ。幼少期より8mm映画に熱中。75年に長編“En Kille och en tjej（恋する男と彼の彼女）”で映画監督デビュー。77年にはスウェーデンの人気グループ“アバ”を題材に２作目『アバ・ザ・ムービー』を監督、世界的ヒットを記録した。85年に『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の監督・脚本を手がけ、国際的監督の地位を手に入れた。　91年にはアメリカに渡って、リチャード・ドレイファス、ホリー・ハンター主演で初のメジャー映画『ワンス･アラウンド』（V）を監督。以降はアメリカを中心に活躍、93年には『ギルバート・グレイプ』の監督、製作を務め、95年には、『愛に迷った時』を監督している。99年には『サイダーハウス・ルール』で作品、監督を含むアカデミー賞７部門ノミネートという偉業を達成、２000年にも『ショコラ』で再び作品を含むアカデミー賞５部門ノミネートと、アカデミー賞の常連監督として活躍を続けている。

Production Notes

『シッピング・ニュース』が映画化されるまでには実に長い道のりがあった。　プロデューサーのリンダ・ゴールドスタイン・ナウルトンは1993年に初めてアニー・プルーの「港湾ニュース」のゲラを読んだ。　ゴールドスタインは語る。「それまで私はニューファンドランドに行ったことはなかった。船についても、漁についても、何も知らなかった。でもアニーの物語にものすごく感動した。映画化するのは難しいと思ったが、それ以上に映画化したい気持ちが強かった」　彼女が譲らなかったのは、ニューファンドランドで撮影することだけだった」　その後本が出版され、ピュリッツアー賞、全米図書賞、アイリッシュ・タイムズ海外小説賞を受賞した。

この映画には、ペタル・ベア、バニー、ウェイヴィ・プラウズ、ビーティ、ナットビームなど変わった名前の人物が登場するがその由来は簡単だ。プルーは地元の電話帳、葬儀場のリスト、地元の漁業関係者、ガス会社の関係者リストから面白い名前を50～60個選び出し、その中から付けた。
　プルーは説明する。「自分が書いている場所や人間に適した名前がほしかった。名前はその人のイメージを彷彿させ、ストレイトにその人の背後にある個性を映し出す」。

クオイルという名前だけが特別に重要な意味を持つ。“クオイル”はロープのとぐろ巻きを意味する古い英語である。プルーは偶然に見つけたロープ結びの本にインスピレーションを受けた。それはロープ結びが使い方によってはきわめて有益であることを図解している本だった。そのロープ結びにちなんだ名前を付けることによって様々な組合せがある一方、シンプルなものこそ多くの可能性を秘めているというメタファーになると、彼女は考えた。

(以上プログラムより引用)