I n t r o d u c t i o n 

　「羊たちの沈黙」「ハンニバル」と続いたトマス・ハリス原作の“ハンニバル・レクター３部作”の１作目にあたるサイコ・スリラー。かつて死闘を演じた元ＦＢＩ捜査官とレクター博士の、連続殺人事件解明に向けての攻防を緊張感たっぷりに描く。監督は「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー。レクター博士には引き続きアンソニー・ホプキンス。対する元ＦＢＩ捜査官には「ファイト・クラブ」のエドワード・ノートン。
　ＦＢＩ捜査官ウィル・グレアムは、連続殺人の捜査のため、精神科医のハンニバル・レクター博士に助言を受けていたが偶然目にしたものから犯人はレクター博士であることを知り苦闘の末捕らえたが精神的疲労が募り現役を引退。今は家族とフロリダで静かに暮らしていた。そんな彼のもとをある日、元上司のジャック・クロフォードが訪れる。彼はウィルに、最近起きた二家族惨殺事件の捜査協力を願い出た。一度は断るウィルだったが、殺された家族の状況を知るうち捜査に加わるようになる。それでもなかなか犯人像を割り出せないウィルは、やむなく拘禁中のレクターのもとへ意見を聞きに出向くのだが…。
　
上映時間：　２時間５分
制作国　：　アメリカ
日本公開：　2003.２．８
原　　題　：　Red Dragon
原　　作　：　トマス・ハリス「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」

C a s t  &  S t a f f

　アンソニー・ホプキンス　・・・・・・・　（ハンニバル・レクター博士）

　エドワード・ノートン　・・・・・・・・・・・・・・・　（ＦＢＩ捜査官　ウィル・グレアム）

　レイフ・ファイアンズ　・・・・・・・・・・・・・・　（殺人者　フランシス・ダラハイド）

　ハーベイ・カイテル　・・・・・・・・・・・・・・・　（ＦＢＩ捜査官　ジャック・クロフォード）

　エミリ−・ワトソン ・・・・・・・・・・・・・・・・・　（盲目の女性　リーバ・マクレーン）

　
　監督／ブレット・ラトナー

Profile of Hero／Heroin

　
Anthony Hopkins

　1937年、イギリスのウェールズ州マーガム生まれ。もともとはピアニスト志望だったが、17歳のときに出会ったYMCAのアマチュア劇団に触発されて芝居に目覚める。イギリスではTVシリーズにも数本出演したが、73年にはアメリカ初のミニTVシリーズ「QBV」に出演。翌74年にブロードウェイ進出を果たしたのを機に、ロサンゼルスに移り、『マジック』（78）、『エレファント・マン』（80）といった映画の他、TVシリーズに出演、エミー賞を2度受賞している。84年の『バウンティ／愛と反乱の航海』を最後に、ホプキンスはイギリスへ戻り、ナショナル・シアターの"プラウダ"で数々の賞を獲得。90年代に入り、アルコール中毒で若くに亡くなったウェールズ出身の詩人をテーマにした『Dylan Thomas：Return Journey』では監督も経験し、ピアノの腕を活かして音楽も担当している。『羊たちの沈黙』（91）のレクター博士役でアカデミー主演男優賞を獲得してからは、ハリウッド作品では欠かせない演技派スターとして活躍。『ザ・ワイルド』（97）の撮影中、引退宣言をしたとの報道もあったが、まだまだ現役。93年に英王室からナイトの称号を授与され、2000年にはアメリカの市民権も獲得した。
　　　　　　　　　　　　　　

　１969年、メリーランド州コロンビア生まれ。父は建築家、母は教師で3人兄弟の長男。幼い頃から演技に興味を示し、6歳のときにはすでに人前で即興の芝居をしたという。イエール大学では史学専攻だったが、演技と日本語のクラスもとっている。在学中から舞台には立っていたが、生活のためにウエイターや校正、業界入りの足がかりを作るための助監督などを経験。建築家だった祖父の会社のコンサルタントとして、天保山の水族館建設のために大阪で働いていたこともあって日本語は堪能。デビュー作でゴールデン・グローブ受賞作ともなった『真実の行方』（96）のオーディション時に、スクリーンテストの段階でキャラクターの出身地、東ケンタッキーのアクセントで臨む徹底ぶりでハリウッド中にセンセーションを巻き起こした。

The Director

　監督のブレッド・ラトナーは１970年生まれ。8歳の頃に8ミリ・カメラを使い始め、16歳でニューヨーク大学のティシュ・スクール・オブ・ジ・アーツを受験し、学長に直談判して最年少の映画専攻学生となった。
卒業制作用に撮った短編『Whatever Happened To Mason Reese』は、アンブリン・エンターテイメントから資金援助を受けている。卒業後はマイアミの社交界に影響力のある母の紹介でミュージックビデオを数多く手掛ける。97年、へヴィ・Dのビデオに出ていたクリス・タッカーを主演に据えた『ランナウェイ』で映画進出。ヒットチャートに送り込んだことで､一躍注目を集める。続くジャッキー・チェンとタッカー共演の『ラッシュアワー』（99）は全世界で300億円近い興行成績を記録。
　　　　　　　　　　　　　　　

Production Note

　ラトナーの意図をサポートするスタッフたちの中で、特筆すべきは美術のクリスティ・ゼアと撮影のダンテ・スピノッティだった。『羊たちの沈黙』で美術と第2班監督を務めたゼアは内容のつながりからいっても、レクターの収容されている独房は『羊たちの沈黙』と同じでなければならないと考えた。彼女自身がデザインした独房は、現在はニューヨークの映像博物館に寄贈されているが、それと寸分違わないものを作り上げた。またレクターの家の内装は精神医学の草分け、ジグマンド・フロイドの住まいを研究して、内装をデザインしたものである。

情感のある映像を得意とするスピノッティはラトナーの演出に大きな刺激を受けた。「ラトナーは俳優の顔に焦点を当てる、伝統的なスタイルを使いながら、自分の個性を遺憾なく発揮しています。この作品は演技の力と監督のエネルギーによって語られる、その点を心にとめて撮影しました」

　　　　　　　　　　　　（以上　パンフレットその他から引用）

鑑賞後の一言
”レクター”シリーズの３作目だが、私自身は「羊たちの沈黙」をまだ観ていないので、ますます、基本の作品を見たくなった。　前作の「ハンニバル」でも目を背けたいほどの場面もあったが、本作ではそのようなシーンはないので、目を背ける事はない。　最初から最後まで静かで、不気味な迫力のある雰囲気で、別な意味で目が離せない緊張感の連続だった。　殺人鬼役のレイプ・ファインズは幼い頃の不幸な育てられ方から異常な性格となって殺人鬼と化すが盲目の女性にだけ心の優しさをかいま見せるシーンなど今回のキャストとして実にマッチしていると思う。