I n t r o d u c t i o n 

　ゴールドラッシュに沸くアメリカ西部の町を舞台に、欲望に走る人間の報いと贖罪を描いた重厚な人間ドラマ。監督は「日蔭のふたり」のマイケル・ウィンターボトム。同作の原作者、文豪トーマス・ハーディの小説『カスターブリッジの市長』を映画化。舞台を本来のイギリスからアメリカへ移し、雪に埋もれた大自然で展開する壮大なスケールの物語に仕立て上げた。
　1867年、カリフォルニア・シエラネヴァダ。ゴールドラッシュに沸くこの極寒の大地に栄える町“キングダム・カム”には夢に魅せられた人々が集まっていた。ダニエル・ディロンは、かつてある“取り引き”を行ない巨万の富を得、町全体を我が物とした。町一番の美女ルチアさえも手に入れていた。そんなある日、町に若き測量技師ダルグリッシュがやって来る。さらには、曰くありげな母娘もこの町を訪れた。母は胸を患い、娘は母を懸命に看病する。母にはある目的があった。そして、“約束の地”で出会った彼らは運命と時代の波に翻弄されていく。

上映時間：　2時間１分
制作国　：　イギリス・フランス・カナダ
日本公開：　2002.12.14
原　　題　：　The Claim

C a s t  &  S t a f f

　ミラ・ジョヴォヴィッチ　・・・・・・　（ディロンの愛人・歌手　ルチア）

　ナスターシャ・キンスキー　・・・・・・　（ディロンの元妻　エレーナ）

　サラ・ポーリー　・・・・・・・・・・・・・・・　（エレーナの娘　ホープ）

　ウェス・ベントレー　・・・・・・・・・・・・　（鉄道測量技師　ダルグリッシュ）

　ピーター・ミュラン　・・・・・・・・・・・・　（町の支配者　ダニエル・ディロン）

　
　監督／マイケル・ウィンターボトム

　原案／トマス・ハーディ　「カスターブリッジの市長」

Profile of Hero／Heroin

　
Milla Jovovich

　1975年、ウクライナのキエフ生まれ。母親はロシアの著名な女優、父親はユーゴスラヴィア人医師。5歳の時、家族とともにカリフォルニア州サクラメントに移住。　11歳の時からモデルの仕事を始め、同じ年、『トゥー・ムーン』（’88年）でシェリリン・フェンの妹を演じて映画デビュー。『ブルー・ラグーン』（’91年）では15歳のセミヌードが話題を呼んだ。『フィフス・エレメント』（’97年）では異星人リールー役を演じて高評を得る。『ジャンヌ・ダルク』（’99年）ではかつてイングリッド・バーグマンやジーン・セバーグといった銀幕の大物スターが演じた聖女役に挑戦。最近作には『ミリオンダラー・ホテル』（’00年）、『The Claim』（’00年）、『Zoolander』（’01年）、『You Stupid Man』（’01年）がある。最新作はインディペンデント映画『Dummy』（’01年）とボブ・ラフェルソン監督の『No Good Deed』（’02年）。
　　　　　　　　　　　　　　

　1978年アメリカ、アーカンソー州生まれ。リトル･ロックの舞台でキャリアをスタートし、ニューヨークのジュリアード学院で本格的に演技を学ぶ。98年、『Three Below Zero』でスクリーン・デビュー。ジョナサン･デミ監督の『愛されし者』（98）でダニー・グローバーと共演。翌年、サム･メンデス監督、ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング共演のアカデミー賞作品賞受賞作『アメリカン･ビューティー』(99)に出演。時代錯誤な父親のもとで心を閉ざすビデオカメラが趣味の“隣の少年”リッキーを演じ大絶賛を浴び、ナショナル・ボード・オブ・レヴュー最優秀新人賞を受賞。その豊かな才能を一気に開花させ、弱冠22歳でハリウッド注目の人気俳優の一人となった。同年の『バウンティ・キッド（未）』(99)では、アントニオ・バンデラス、エレン･バーキン、ボブ・ホスキンスと共演。その他の出演作は、アンサンブル･キャストの一人として登場した『エントランス』（01）、シェカール・カプール監督、ヒース・レジャー共演の『The Four Feathers』（02）などがある。

The Director

　監督のマイケル・ウィンターボトムは1961年イギリス生まれ。オックスフォード大卒業後、TVドキュメンタリー制作からキャリアをスタート。TV用に演出した『GO NOW』(95)でヨーロッパ大賞を受賞。『バタフライ・キス』（95）で劇場用映画初監督を果たす。２作目は『日蔭のふたり』（96）。この作品は、カンヌ国際映画祭監督週間でプレミア上映され、エジンバラ映画祭最優秀作品‘ザ・マイケル・パウエル’賞の栄誉に輝く。その後、『ウェルカム・トゥ・サラエボ』（97）がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、続く『アイウォントユー』（98）は1998年ベルリン国際映画祭コンペ部門に出品された銀熊賞を受賞。その他『いつまでも二人で』（99）と『ひかりのまち』（99）があり、後者は99年カンヌ国際映画祭コンペ部門に出品され、イギリス・インディペンデント・スピリット・アワードを受賞し、2000年BAFTA(英国アカデミー賞)最優秀英国映画にノミネートされた。近作にはイギリスを舞台とした音楽映画『24アワー・パーティ・ピープル』（02）がある。
　　　　　　　　　　　　　　　

Production Note

　気温がマイナス20度に達し、猛吹雪が何の前触れもなく突然やってきてそのまま何日も続いたり、5分後には止んでしまったりする。しかし第一助監督のニック・ロウズはこの天候の不安定さを受け止め、ゆとりのあるスケジュールをたてた。主要なスケジュールが遅れても、代案はよりどりみどり。「悪天候だからといって屋内のシーンに逃げるのではなく、吹雪が必要なシーンを撮影するのです」と彼は言う。「すべてのプランと助監督や制作チームを臨機応変に対応できるようにしておき、あとはプランA、プランB、プランCのいずれかを選択していくだけ、という具合です。」

　セットの気温も常にモニターされている。「もし気温があまりに低下した場合は、身体のことを考慮して撮影を中断しなければなりません」そうニックは言う。これら全てを考慮し、アルバータの天候がいかに変化しようとも対応していけるようにスケジュールをたてなければならないのである。

　　　　　　　　　　　　（以上　パンフレットその他から引用）

鑑賞後の一言
　１８６７年のカリフォルニア・シエラネヴァダを舞台にした英仏加制作の映画だが、まだ電気も通らない西部開拓時代を反映してか全体的に暗い映像の中で、最初のうちは人物の関係が分かりづらかった事と、恋する二人の恋愛感情描写がそれほど強くなかった観がある。