I n t r o d u c t i o n 

　人の心の奥底に眠っている、別世界への願望。　今のような生活ではない、激しく心をときめかす世界はきっとあるはず・・・。　出逢い突然やってきた。　出勤途中のいつもと変わらない交差点。　立ち止まった男の視線が、アリスの体を貫いた。　現実から遥か彼方に飛翔するようなときめきと高揚感。　アリスはその時、日常から非日常の異次元とでもいうべき世界の扉を開けたのだ。　アダムと言う男とのめくるめく快楽、そして愛。　しかし彼に溺れれば溺れるほど彼へのなぞは深まり、死の影がつきまとい始めるのであった。　アリスの視点で語られるこの物語は、数々のセックスシーンと彼女の心のゆれを体感させながら、見るものを幻惑させていく。　引き締まったジョセフ・ファインズの肉体と登山家という設定が、女をさらに激しく征服していこうとする欲望とないまぜとなり、妖しげな愛の行方の危うさを感じさせつつ、後半のサスペンスを際立たせていく。

　過激なボンデージ・テイストを織り込んだ原作をアーティスティックに仕上げたのは、『さらば、わが愛/覇王別姫』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞した国際的なＡ級監督で、中国映画界の至宝・陳凱歌監督だ。　欧米での監督作を探していた陳凱歌監督が本作の脚本を気に入り、英語作品の第一回作品として選んだ。

C a s t  &  S t a f f

　ヘザー・グラハム　・・・・・・・・・・　（キャリアウーマンのアリス）

　ジョセフ・ファインズ　・・・・・・・・・　（登山家のアダム）

　ナターシャ・マケルホーン・・・・・・・・・　（アダムの姉）

　イアン・ハート　・・・・・・・・・・・・・・・・・　（刑事ダニエル）

　　　監督／陳　凱歌　（チェン・カイコー）

Profile of Hero／Heroin

Heather Graham

１９７０年アメリカ、ミルウォーキー生まれ。『運転免許証』（８８）で本格映画デビュー。　『ドラッグ・ストア・カウボーイ』（８９）、ＴＶシリーズ『ツイン・ピークス』のアニー役で頭角を現し、清純キャラのイメージで活躍。『ブギーナイツ』（９７）のローラーガール役で大胆なヌード演技を披露し一躍セクシー系女優としてブレイク。　他の出演作は『オースティン・パワーズ・デラックス』（９９）でスター女優として開花。　『SAY IT ISN'T SO』、『（０１）SIDEWALKS OF NEW YORK』、（０１）、『フロムヘル』（０１）。


Joseph Fiennes
１９７０年英国ウィルトシャー生まれ。　ロンドンの劇団で俳優修行をし数々の舞台を踏む。　映画デビューはベルトルッチ監督の『見せられて』（９６）。　オスカー受賞作『恋に落ちたシェイクスピア』（９８）で若きシェイクスピア役を演じて一躍脚光を浴びる。　以後、インドの社カール･かプール監督の『エリザベス』（９８）、フランスのジャン・ジャック・アノー監督の『スターリングラード』（００）、マケドニアのミルチョ･マンチェフスキー監督の『ＤＵＳＴ』（０１）と国際的な監督による出演作が続いている。　


Natascha Mcelhone
１９７１年ロンドン生まれ。　名門ロンドン･アカデミー・オブ･ミュージック・アンド・ドラマティック・アートを卒業後、舞台に進出。　映画は『サバイビング・ピカソ』（９６）でピカソの３８歳年下の愛人役で映画デビュー。　以後『デビル』、『ダロウェイン夫人』（９７）、『トゥルーマン・ショー』、『ＲＯＮＩＮ』（９８）などに出演。　近作はマット･ディロン監督･主演作『ＢＥＮＥＡＴＨ　ＴＨＥ　ＢＡＮＹＡＮ』（０１）、スリラー作品『ＦＥＡＲ　ＤＯＴ　ＣＯＭ』（０２）

Production Notes

　物語の最初で、アリスとアダムは劇的な出会いをする。監督はこのシーンについて考えた。原作ではふたりは交差点を横断する時に視線を交わすだけだが、監督は観客はそれ以上のものを要求するだろうと考えた。　撮影開始前に監督は妻とロケ地を訪れ、とおりを何度も横切った。ある瞬間、監督と彼の妻は同時に歩行者用のボタンに手を伸ばし、手が触れた。　その瞬間、監督はアリスとアダムの劇的な出会いはこれだと思い、原作と違い情感に含みを持たせた新しい出会いを演出した。

アダム役のジョセフ・ファインズは登山家という設定のため、事前に登山を試みた。ロンドンの登山センターでトレーニングを開始し、スコットランドの山間のグレンコーに旅をした。「何が登山家を動かすのか、何千フィートもの山肌を登らせる情熱と、とりつかれたような感情はどこからくるのか、それを見極めることだった。」　結果ファインズも登山の虜となり、インストラクターから最も才能のある生徒と賞賛された。

(以上プログラムより引用)

鑑賞後の一言

　　清純そうなヒロインのアリスが大胆なセックスシーンで快楽を追求するストーリーは意外であった。　また二人の愛し合うシーンをあれほど露骨に見せるとは普通の映画ではあまり見た事がない。　監督が中国の監督で自国の映画では制限されて描写できないようなシーンを逆に思い切り表現したように思える。　ストーリーはミステリアスで最初のうちはどう展開するのかわからなかったが、最後に意外な結末となり、最後まで観客をひきつけ、なかなか楽しめた映画であった。