チェンジングレイン

I n t r o d u c t i o n

　ハイウェイ、ビジネス街、裏町、交差点、そして渋滞――『チェンジング・レーン』はニューヨークの当たり前の風景から始まる。　主人公のギャビンとギプソンは、それぞれが全く異なる道＜レーン＞を進んでいた。　ところがハイウェイで些細な接触事故を起こしたことから、2人の人生が激しく交錯する。初めは「5分でカタがつく」と思われていたことが、やがて思いもよらないサスペンスに発展していく。　“失った物”を取り戻そうとする2人の駆け引きが、まるで「人質」と「身代金」をやり取りしているかのような緊迫感を生み出す。　しかし、この物語は男たちの対決だけでは終わらない。　次第に増幅する相手への怒りが、合わせ鏡のように自分の醜い姿を映し出す時、それぞれの人生が浮き彫りになってくる。　ベン・アフレック、サミュエル・Ｌ・ジャクソンが演じる主人公たちにとって“その1日”はどんな意味を持っているのか。　彼らが本当に失った物は何だったのか。　それはたった1日だけの出来事とは思えないほど濃密に、そして加速度的に彼らの人生を変えていく。　これは、ほんの小さな偶然によって起こったサスペンスであると同時に、心を揺さぶる人間模様を見事に描いた、新感覚の「アクシデンタル・ドラマ」である。

Profile of Hero／Heroin

　
Ｂｅｎ　Ａｆｆｌｅｃ

両親の離婚後、小学校の教師だった母の下、弟で俳優のケイシー・アフレックと共にボストンで育つ。８歳の時知り合ったのが、後に「グッド・ウィル・ハンティング／旅立ち」で共同脚本を書き、アカデミーとゴールデングローブの脚本賞を受賞することになるマット・デイモン。１２歳でＴＶシリーズに出演。大学はブラウン大だったが、カリフォルニアのオクシデンタル・カレッジへ移って演技の勉強を受ける。９１年から端役でいくつかの作品に参加し「チェイシング・エイミー」で注目を受ける中、「グッド・ウィル・ハンティング／旅立ち」でブレイク！　その後は話題作に出演しながらオフ・ビートな役柄でその魅力を発揮している

Samuel L Jacson

11948年ジョージア州生まれ。モアハウス・カレッジで演劇を専攻、卒業後ニューヨークで数多くの舞台を踏む。映画界デビューは『Together　for　Days』(72)。『ジャングル・フィーバー』(91)で筋金入りの麻薬中毒者を演じ、初めてカンヌ映画祭とニューヨーク映画批評家賞で最優秀助演男優賞を受賞。　その後『パルプ・フィクション』(94)で、アカデミー、ゴールデン・グローブ、イギリス・アカデミーの助演男優賞部門にノミネート。続く『ジャッキー・ブラウン』(97)では、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞。『評決のとき』(96)ではゴールデン・グローブ賞ノミネート、NAACP賞受賞、『英雄の条件』(00)では、ドゥーヴィル映画祭特別功労賞を受賞。またテレビ界でも、ジョン・フランケンハイマー監督のエミー賞作品『ウォール・オブ・アッティカ／史上最大の刑務所暴動』(94)で、ゴールデン・グローブ賞だけでなく、ケーブル・エ－ス賞の映画及びミニ・シリーズ部門で最優秀助演男優賞にノミネートされた。

The Director

監督のロジャー・ミッチェルは数本のTVシリーズを手がけた後、『待ち焦がれて』（95・未）で映画監督としてデビューを果たす。19世紀のイギリスを舞台にしたこのラブ・ロマンスは英アカデミー賞の5部門で栄誉に輝き、脚光を浴びる。その後“My Night with Reg”（96）、“Titanic Town”（98）と続き、99年にジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント主演の『ノッティング・ヒルの恋人』の監督に抜擢され、大ヒットを記録。本作品での大成功も含め、これからも目が離せない注目の監督である。

Production Note

ギャビンが勤める法律事務所は力の象徴であり、物語が進行する重要な舞台でもある。18,000平方フィートにも及ぶ巨大なセットがブルックリンにあるマーシー・アベニュー・アーモリーの屋内スペースに建てられ、スタイリッシュな雰囲気作りのため、内部は全てガラスの壁で仕切られ、三方には110メートルにも及ぶマンハッタンの風景写真が貼り巡らされた。また、一流企業のシンボルとして様々な有名絵画の複製品が飾られている。有能なスタッフが手がけたこの絵画は、あまりにも本物そっくりだったため、各アーチストや遺産管理人の依頼によって、撮影後に破棄された。

この作品には2つの交通事故が登場する。ひとつは物語の発端となる接触事故で、もうひとつは悪意と報復の中で引き起こされるものである。この2つのシーンを撮影するためには、かつてない規模の入念な準備が必要であった。そのほとんどが水曜日から土曜日にかけて撮影されるスケジュールとなっていたため、ニューヨーク市での撮影史上初めて、大きな幹線道路の1本であるFDRドライブが完全に閉鎖された。そのおかげで混雑するハイウェイを忠実に再現し、物語の重要な要素である場面を完璧に撮影することが出来たのである。

　　　　　　　　　　　(以上、プログラムその他から引用)

鑑賞後の一言
　　偶然起きた交通事故、そして、たった２０分で人生が狂ってしまう－何がどう転ぶかわからない世の中。　怖いのは個人情報がコンピュータからすべて見えてしまい、さらにその情報を操作されてしまう。　アメリカ社会ではこんな事が出来るのか、例の日本での住民基本情報ネットがこわくなるほど。　サミュエル･エル･ジャクソンが一般市民の役で登場するが、数多くの映画の中でも珍しい役だと思う。また、先週紹介した映画のトリプルエックスにも出ているし、出演作品が多いのは、その演技力と雰囲気から必要な存在である事の証明かも。ストーリーは正義と利益との狭間で人間としてのあり方を悩み続けるベンアフレックの演技力もなかなかよかったと思う。